遺言・・・例えば
     夫が死亡し,子がなく夫の両親も既に亡くなっているような場合,妻が当然にすべてを相続するものと思い込み,あとで思わぬトラブルになることがよくあります。
     このようなケースでは,妻は夫の遺産を夫の兄弟姉妹と遺産分割しなければなりません。また,兄弟姉妹の1人が死亡している場合でもその子(つまり甥姪)にも権利があります。
     たとえ夫婦で築いてきた財産であっても,4分の1は夫の兄弟姉妹に相続権があるのです。納得できなくても法律上そうなっているのです。
     これは遺言を残しておかないといけない典型例です。


    〇遺言事項

     遺言事項は,民法他の法律で定められた事項に限られており,これら以外の事項については法的効力はありません。
     しかし,もしそれ以外のことが書かれていても全体が無効になるわけではありません。

    *相続に関すること
      推定相続人の廃除又は取り消し又は排除の取り消し
      相続分の指定又は指定の委託
      遺産分割方法の指定又は指定の委託
      特定の遺産を特定の相続人に「相続させる」旨の遺言
      特別受益の持戻し免除
      遺産分割の禁止
      遺贈の減殺方法の指定
      相続人相互の担保責任について指定

    *相続財産の処分に関すること
      遺贈
      財団法人の設立
      信託の設定

    *身分に関すること
      子の認知や未成年後見人,未成年後見監督人の指定

    *遺言の執行に関すること
      遺言執行者の指定又は指定の委託,執行者の職務内容の指定

    *その他
      祭祀承継者の指定,遺言の取消,生命保険金の受取人の指定・変更


    〇遺言の方式

     民法には,「遺言は,この法律に定める方式に従わなければ,これをすることができない」と定められています。つまりその方式を遵守していない遺言は無効です。
     遺言の方式として普通方式と特別方式があります。
     まず,普通方式ですが,筆証書遺言,公正証書遺言,秘密証書遺言の三つがあります。それぞれに短所長所があり,また手続きに相違はありますが,どの方式でも有効です。
     特別の方式は,病気などのために死期の近い者や伝染病のために隔離されている者などに認められた特別な遺言方式です。
     一般危急時遺言の方式(遺言者が普通の遺言ができるようになってから6ヶ月以上生きていたときは失効)は,証人3人以上の立会が必要であり,遺言者が証人の一人に遺言の趣旨を口授し,その者がこれを筆記,そしてこれを遺言者と他の証人に読み聞かせる。次に各証人がその筆記が正確なことを確認した後に署名・捺印し,20日以内に家庭裁判所で「確認」を受けることが必要です。


    *自筆証書遺言
     自筆証書によって遺言をするには,遺言者が,その全文,日付及び氏名を自書し,これに印を押さなければならない,となっております。(民法第968条)
     つまり,遺言所の偽造を防ぐためであり,一部でも代筆やパソコンの部分があると無効となります。
     また,用紙や筆記用具に制限はありませんが,文字が消えないように万年筆やボールペンなどで書いてください。


    *公正証書遺言
     公正証書遺言とは,公証役場で公証人に作成してもらう遺言のことです。(民法第969条)
     その方法は,
    ○証人二人以上の立会いがあること。
    ○遺言者が遺言の趣旨を公証人に口授すること。
    ○公証人が遺言者の口述を筆記し,これを遺言者及び証人に読み聞かせ,又は閲覧させること。
    ○遺言者及び証人が,筆記の正確なことを承認した後,各自これに署名し,印を押すこと。ただし,遺言者が署名することができない場合は,公証人がその事由を付記して,署名に代えることができる。
    ○公証人が,その証書は前各号に掲げる方式に従って作ったものである旨を付記して,これに署名し,印を押すこと。
     となっております。
     公証役場で作成された公正証書遺言の原本は,公証人によって保管されますので,紛失や偽造の心配がありません。また,遺言者に原本と同一効力を有する正本が渡されますし,万一正本を紛失しても再交付を受けることもできます。
     なお,公正証書遺言の作成には,手数料がかかります。手数料は相続財産の額によって変わり,財産が多くなるほど高くなります。なお,遺言書について家庭裁判所の検認手続きは必要ありません。そのため,遺言の執行が迅速にでき,自筆証書遺言に比べると確実性がある遺言書です。


    秘密証書遺言
     秘密証書遺言とは,その内容を秘密にしたまま遺言の存在のみを証明してもらう遺言のことです。(民法第970条)
     その方法は,
    ○遺言者が,その証書に署名し,印を押すこと。
    遺言者が,その証書を封じ証書に用いた印章をもってこれに封印すること。
    ○遺言者が,公証人一人及び証人二人以上の前に封書を提出して,自己の遺言書である旨並びにその筆者の氏名及び住所を申述すること。
    ○公証人が,その証書を提出した日付及び遺言者の申述を封紙に記載した後,遺言者及び証人とともにこれに署名し,印を押すこと。
     この遺言書は,自分で署名押印さえすれば,パソコンを使用したり代筆でもかまいません。
     この遺言書は内容の確認がされませんので,公証役場には保管されず,遺言者自身で保管することになります。



    行政書士かわひと事務所
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